「ああ、もう散々よ、ほんと。佳澄、あんたのせいよ?大体あそこであんたが余計なこと言わなければ、絶対あの契約取れたんだから。新卒とはいえもう入社半年なんだし、少しは学びなさいよ。」
喧騒広がる夜の飲み屋で、佳澄は上司である唯衣と共に反省会と称したいつもの憂鬱な飲みに連れ出されていた。
今回の件について、佳澄のちょっとしたミスを唯衣に目をつけられ、くどくどと指摘をされている。
彼女は意識の高い性格をしていることから、それを部下にもかなり押し付ける節があり、少しでも気に食わないミスをした部下を呼び出してくどくどと「あれがだめだ」「これがだめだ」と過剰なまでの指摘をしてくる。
「いい?営業で大切なことは攻めと守りなわけ。あなたは攻めで余計な手数を踏むのよ。
責める時は一気に行かなきゃダメ。これが常識だから?」
(出た、また唯衣さんの営業理論だよ…。)
彼女は愚痴から始まり酒が進むほどに自論を語る流れがテンプレートなのだ。
手元のビールが空になると今度は「赤ワインください!」と声を上げる。
(また長くなりそうだなぁ…。)
こっそりとスマートフォンの画面に映し出された時間を見ればまだ1時間も経ってない。
ぼんやりとしているところに、「聞いてる?」との声。
「はい、聞いています、勉強になります」
「そう、その返事よ。私が思うに、営業のコツはねーー。」
佳澄は憂鬱な気持ちと共に時間を過ごした。
***
「…っ、飲みすぎた」
店についてから2時間半後。
今日は特に自論に花が咲いたため、唯衣はもはやベロベロな様子だった。
「ダメだ。アタマ痛すぎ。立てないかも」
「タクシー呼びますけど、住所教えてもらっていいですか?」
聞けばさほど遠くない場所にマンションはあるため、佳澄は仕方なく家まで付き合うことにした。
***
タクシーでおよそ15分で唯衣の家に着いた。
「う、飲みすぎた…。」
「大丈夫ですか?」
唯衣に水を雑に渡して、とりあえず様子を見ていると
彼女はそれを一気に飲み干し、そのまま眠りについてしまった。
「それにしても何もない部屋だなぁ、仕事ばっかりって感じ。」
唯衣の部屋は仕事関係のものがあるばかりで、生活感はあまりない部屋だった。できる上司の部屋というか、あまり女性らしいものはなかった。
佳澄は早く帰りたいという気持ちだったが、少し部屋を見渡して、何かこの女の生活を覗いてやろうという気持ちであたりを見渡した。
机の上を見てみると、ブックエンドで整えられた書類の端にふと見たことがあるものが置いてあることに気がついた。
「…ん?これって、、」
そこで私が見たもので、私の人生は大きく発展していく。
唯衣の人生は大きく転落していく。
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